複数の店舗を運営していると、経費のレシートや領収書は想像以上の速さで溜まっていきます。今回ご紹介するのは、複数店舗を展開するあるサービス業の会社です。店舗ごとの経費のレシートが紙のまま溜まり、月次の費用集計のたびに、担当者が一枚ずつ手入力で転記していました。この会社が「レシートをスマホで撮影するだけ」で集計までつながる仕組みをどう作ったか、その過程をご紹介します。
- 店舗ごとの紙のレシートが溜まり、月次の費用集計のたびに手入力で転記していた。
- スマホで撮影するだけで、生成AIが日付・金額・支払先・費目を読み取り、店舗横断の集計データに自動で取り込む仕組みを構築した。
- 読み取りコストは1枚あたり5円ほど。手入力の転記がなくなり、経費が店舗横断で毎月同じ形式で見られるようになった。
- 複数の店舗・拠点の経費を、紙のまま集めて手で転記している会社に向く型。
課題:紙のレシートが溜まり、月次のたびに手入力
経費の記録そのものは、どの会社でも発生する地味な仕事です。ただ、店舗の数が増えるほど、この地味な仕事は重くなっていきます。
- 各店舗で発生した経費のレシート・領収書が、紙のまま溜まっていく。
- 月次の費用集計のたびに、日付・金額・支払先などを一枚ずつ手入力で転記する。
- 店舗をまたいで経費を比べようにも、まず転記が終わらないと数字がそろわない。
やったこと:スマホで撮るだけで、集計まで自動でつながる
レシートをスマホで撮影するだけで、あとは自動で集計までつながる仕組みを作りました。読み取りの部分には、生成AIによるAI-OCR(書類を読み取るAI)を使っています。
- レシートをスマホで撮影すると、生成AIが日付・金額・支払先・費目を読み取る。
- 読み取った結果は、店舗横断の集計データに自動で取り込まれる。
- 集計は経営ダッシュボード(BI=数字をグラフなどで見える化する仕組み)に反映され、店舗別・月別の経費がいつでも見られる。
気になるコストですが、AIの読み取りにかかる費用は1枚あたり5円ほどです。人がレシートを見ながら転記する時間と比べれば、十分に安い水準といえます。
つまずいた点
- 手書きのメモや印字のかすれは、AIが読み取りを誤ることがありました。そこで「AIの結果をそのまま信じない」設計にし、人が最終確認するための画面を残しました。全部を自動にするのではなく、最後の一手だけ人が持つ形です。
- 同じレシートをうっかり二度撮ってしまうことがあり、重複を検知する仕組みが必要になりました。撮影が手軽になったぶん、二重計上を防ぐ工夫はセットで要ります。
- 費目の分類(何の経費として扱うか)は、会社ごとに独自のルールがあります。ここをAI任せにすると会社の帳簿と合わないため、その会社の勘定ルールをAIに教え込む形にしました。
結果
月次集計時の手入力での転記がなくなりました。そして、経費が店舗横断で毎月同じ形式で見られるようになりました。数字が同じ形でそろって初めて、「どの店舗の、どの費目が増えているのか」という比較や打ち手の検討が現実的になります。転記という作業を減らしただけでなく、経費が経営の判断材料として使える状態になったことが、この取り組みのいちばんの成果です。
この型が使える会社
- 複数の店舗・拠点があり、経費のレシートや領収書が紙のまま各所に溜まっている会社。
- 月次の費用集計を、担当者の手入力での転記に頼っている会社。
- 店舗別・月別の経費を同じ形式で比較し、経営判断に使いたい会社。
AIの読み取りは便利ですが、完璧ではありません。だからこそ「人が最終確認する場所を残す」「重複を検知する」「会社のルールを教え込む」といった、AIを信じすぎない設計が実務では効いてきます。派手な自動化よりも、毎月必ず発生する地味な作業から一つずつなくしていく。それが、AI導入をいちばん確実に成果へつなげる進め方だと考えています。
この記事のような仕組み、自社にも入れられます
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