店舗ビジネスの集客で近年存在感を増しているのが、地図アプリ上で近所の見込み客に見つけてもらう「店舗誘導型」の広告です。習い事の教室を複数(5店舗)展開するある事業者は、この広告を1店舗あたり1日数百円という少額で運用していました。ところが一部の店舗で反応が伸び悩んでいたため、AIと一緒に全店舗のデータと設定を並べて点検したところ、意外なほど単純な「空白」が見つかりました。今回は、その点検から5店舗一斉の調整までをご紹介します。
- 少額運用の地図広告5店舗をAIと点検したところ、一部店舗でクリック率が1.3%前後に低迷していた。
- 主因は「配信先はほぼスマートフォンなのに、縦型の画像素材が1枚も無い」という空白だった。
- 縦型画像の追加やスマホ配信への絞り込みなど6項目の調整を、1店舗で型を作って5店舗に横展開した。
- 効果は1〜2週間の観測期間を置いて確認する段取りで、現時点では「調整完了・観測中」の段階。
課題:少額の地図広告が「出して放置」になっていた
この広告は、検索エンジンの地図サービス上で店舗を目立たせ、「経路案内のタップ」や「電話のタップ」といった地図上の反応を成果として数える仕組みです。ここでひとつ正直に書いておくと、数えているのはあくまで地図上の反応であって、申込そのものではありません。1件あたりの単価が安く見えても、それは本当の申込単価ではない——この読み方の注意は、運用する側が常に忘れてはいけない点です。
そのうえで問題だったのは、一部の店舗でクリック率(広告が表示された回数のうち、実際にタップされた割合)が1.3%前後と低迷していたことです。1日数百円という少額運用は、裏を返せば「細かく見直す手間をかけにくい」ということでもあり、まさに「出して放置」の状態になっていました。そこで、5店舗分のデータと設定をAIに並べて見せ、原因を一緒に分析することにしました。
やったこと:主因を特定し、6項目の調整を5店舗に一斉展開
分析で浮かび上がった主因は、拍子抜けするほど単純でした。配信先はほぼスマートフォンなのに、広告素材に「縦型の画像」が1枚も無かったのです。テキスト素材は上限まで埋まっていた一方で、スマホ画面で主役になる縦長のビジュアルだけがぽっかり空白になっていました。この特定を受けて、次の調整を実施しました。
- 配信をスマートフォンのみに絞った(パソコンやテレビ画面などは実質除外)。
- 縦型画像を3枚追加した。サイトにある実際の写真素材から、AIとスクリプト(自動処理の小さなプログラム)で文字入りの縦型広告画像を短時間で量産した。3枚は全店で使い回せる共通デザインにした。
- 紹介動画を追加した。
- 除外キーワードを設定し、サービスの対象ではない目的の検索語を配信対象から外した。一方で、関連はあるが直接の申込語ではない言葉は「見込み客の可能性がある」として、あえて残す判断をした。
- 配信言語を日本語のみに絞った。
- 「地域名×悩みごと」の検索テーマを各店舗に追加した。
進め方の工夫として、まず1店舗で設定の型を作り、動作を確かめてから残り4店舗に横展開しました。5店舗を同時にいじるより、この順番のほうがはるかに効率的でした。
つまずいた点
- 管理画面の建て付けにクセがあった。たとえばデバイス(配信先の端末の種類)は「削除」ができず、入札を100%下げることが実質的に除外する唯一の手段だった。仕様を知らないと「除外したつもりができていない」が起きやすい。
- 除外キーワードの線引きに判断が要った。機械的に全部外すのではなく、「直接の申込語ではないが見込み客かもしれない言葉」を残すかどうかは、事業を知る人間が決める必要があった。
- 横展開は便利な反面、1店舗目の設定ミスがそのまま5店舗に複製されるリスクと隣り合わせ。だからこそ、最初の1店舗で型を固めてから展開する順番が重要だった。
結果:調整は完了、効果はこれから観測
5店舗すべての調整は完了しました。ただし、クリック率が実際に改善したかどうかは、まだ分かりません。この種の広告は反映と学習に時間がかかるため、1〜2週間の観測期間を置いてから効果を確認する段取りにしています。効果が確認できたら、店舗ごとの成績に応じて予算配分を見直す計画です。「調整した、だから上がったはず」と先回りして語らないことも、少額運用を長く続けるうえでは大事な姿勢だと考えています。
この型が使える会社
- 教室・サロン・クリニックなど、複数店舗を展開していて、店舗ごとに地図アプリ向けの広告を少額で出している会社。店舗数が多いほど「並べて点検する」効果は大きくなります。
- 広告を出してはいるが、日々の運用まで手が回らず「出して放置」になっている自覚がある会社。
- 広告代理店に任せるほどの予算規模ではないが、設定の空白や偏りがないかだけでも確かめたい会社。
少額の地図広告は「出して放置」になりがちで、スマホ配信なのに縦型素材が無いといった単純な空白が成果を落としていることがある。AIに全店舗のデータと設定を並べて見せると、この種の空白は一目で見つかります。ただし効果の確認は観測期間を置いて正直に行うことが条件です。
今回の点検で見つかったのは、高度な運用テクニックの不足ではなく、誰も気づいていなかった素材の空白でした。AIの強みは、人間なら面倒で後回しにしてしまう「全店舗の設定を横に並べて眺める」作業を、一瞬でやってのけることです。地図広告に限らず、少額で複数の広告を回している会社なら、まずは設定とデータをAIに並べて見せる点検から始めてみてください。
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