毎月の「数字の報告、お願いします」を、自動リマインドに置き換えた話

毎月の「数字の報告、お願いします」を、自動リマインドに置き換えた話

複数の店舗を展開するある会社では、各店舗の責任者が毎月、実績の数字を共有の表計算シート(複数人で同時に開ける集計表)に入力する運用があります。この入力を促す「数字の報告、お願いします」というひと声を、これまでは毎月、人が手で送っていました。今回は、この毎月の声かけをビジネスチャット(社内の連絡ツール)への自動投稿に置き換えた事例をご紹介します。派手さはありませんが、「小さくて確実に効く自動化」の型がよく分かる案件です。

この記事の要点
  • 毎月人が手で送っていた入力依頼を、ビジネスチャットへの自動投稿に置き換え、依頼作業をゼロにした。
  • サーバーも特別な管理権限も不要な最小構成。AIと一緒に作り、作成から本番稼働まで短時間で完了した。
  • 「未入力の人だけを個別に催促する」機能はあえて作らず、全員宛+締切明記のシンプルな文面で目的を果たした。
  • 自動化は大きな業務から始める必要はない。毎月必ず発生する小さな声かけこそ、最小構成で自動化する価値がある。
目次

課題:依頼を「人が送る」限り、忘れる月がある

入力の仕組み自体は、すでにできあがっていました。各店舗の責任者が、月の初めに共有の表計算シートへ実績の数字を入れる。それだけです。問題は、その入力を促す依頼のほうにありました。

  • 依頼の投稿は毎月、担当者が手で送っていた。忘れる月があり、依頼が遅れると入力も連鎖して遅れた。
  • 数字が揃わないと月次の集計が始められない。依頼の遅れが、そのまま集計全体の遅れになった。
  • 作業自体は数分で済む。しかし「毎月必ず、忘れずにやる」ことを人に求め続けるのは、実は簡単ではない。

ひとつひとつは小さな遅れです。ただ、毎月必ず発生する業務の入り口にあるため、小さいけれど確実なボトルネック(流れをせき止める詰まり)になっていました。

やったこと:毎月第一水曜の昼に、依頼を自動投稿する

対策はシンプルです。ビジネスチャットの通知の仕組みと、簡単な自動実行プログラム(決めた日時に決めた処理を動かす小さなプログラム)を組み合わせ、「毎月第一水曜の昼」に入力依頼のメッセージを自動で投稿するようにしました。文面には全員宛の通知を付け、「本日16時までに」という締切を明記しています。いつまでに何をするかが一目で分かる、催促として十分な文面です。

この事例のポイントは、構成の軽さです。専用のサーバー(常時動かしておくコンピューター)を用意する必要はなく、システムの特別な管理権限も要りません。すでに使っているチャットと表計算ソフトの周辺にある標準機能だけで組めるため、AIと一緒に作って、作成から本番稼働までは短時間で完了しました。

実装ではひとつだけ、小さな工夫が必要でした。自動実行の標準機能には「毎月第一水曜」という指定がなかったのです。そこで「毎週水曜に起動し、その日の日付が7日以内のときだけ投稿する」という判定を入れました。月の1日から7日のあいだにある水曜は、必ずその月の第一水曜です。仕組みで足りない部分を、小さな判定ひとつで補った形です。

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あえてやらなかったこと:未入力の人だけへの個別催促

設計の途中で、「シートを読み取り、まだ入力していない人だけを特定して個別に催促する」という案も検討しました。技術的には可能です。しかし、あえて作りませんでした。

  • 入力状況の読み取りや個人の特定が加わると、仕組みが一気に複雑になり、壊れる箇所と直す手間が増える。
  • 目的は「数字が期限までに揃うこと」であって、「催促を精密にすること」ではない。
  • 全員宛の通知と締切の明記というシンプルな文面だけで、その目的は果たせると判断した。

自動化の相談では「あれもできますか」と機能が膨らみがちですが、機能が増えるほど、仕組みは壊れやすく、直しにくくなります。やりすぎない設計は、手抜きではなく判断です。

結果

毎月の依頼作業はゼロになりました。それ以上に大きいのは、依頼忘れや依頼遅れが「構造的に」起きなくなったことです。人の記憶や心がけに頼っていた工程が仕組みに置き換わったため、忘れるという事象そのものが発生しません。導入後、自動投稿は毎月きちんと実行されており、数字を集める工程の入り口が安定しました。

この型が使える会社

  • 複数の店舗や部署から、毎月決まった数字や報告を集めている会社。集計の入り口の「声かけ」から自動化できます。
  • 「毎月あの連絡をしなきゃ」という定型の呼びかけが、特定の担当者の記憶に依存している会社。
  • 大がかりなシステム投資は考えていないが、身近な手作業を減らしたい会社。サーバー不要・特別な権限不要の最小構成は、最初の一歩に向いています。
この記事の結論

毎月必ず発生する小さな声かけこそ、最小の構成で自動化する価値がある。サーバーも特別な権限も不要で、AIと一緒なら短時間で本番稼働まで到達できます。そして機能は足すより削る判断が、長く動き続ける仕組みをつくります。

自動化と聞くと、大きな業務の置き換えを想像しがちです。しかし最初の一歩は、この事例のような「毎月必ず発生する小さな声かけ」で十分です。効果がすぐに見え、構成が軽いので失敗のリスクも小さい。まずは自社の毎月の連絡を一つ思い浮かべて、「これ、人が送る必要はあるだろうか」と考えてみてください。

この記事のような仕組み、自社にも入れられます

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この記事を書いた人

AIシゴト図鑑 編集部。中小企業の業務効率化・AI活用の受託開発とコンサルティングの現場で得た知見をもとに、「今日から検討できる業務AI化」を実例と数字で発信しています。

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