業務用のWebシステムやツールは、必要になるたびに一つずつ作られていきます。作った時期も担当者もバラバラなまま数が増えると、「セキュリティの点検、いつかやらないと」と思いながら後回しになりがちです。今回は、複数のシステムを運用してきたある組織が、AIを使ってその点検を一斉にやり切った事例をご紹介します。なお、これは自分たちが管理するシステムに対する、許可を得たうえでの点検の話です。
- 作った時期も担当も異なる複数のシステムを、AIで横断的にセキュリティ点検した。
- 問題を重大度付きで洗い出し、重大なものから順に修正。修正後の動作確認まで実施した。
- AIの指摘は鵜呑みにせず、1件ずつ実際に確認してから直すのが実務のコツだった。
- 修正とあわせて「同じ問題を再発させないルール」を決めるところまでがセットだった。
課題:システムは増えたのに、点検だけが後回しになっていた
この組織では、業務用のWebシステムやツールを複数運用していました。ただ、それぞれ作った時期も担当も異なるため、全体を通して「守りが十分か」を確認したことは一度もありませんでした。
- システムごとに作られた経緯が違い、設定の基準もそろっていなかった。
- 専門業者による診断は費用も期間もかかるため、つい先送りになっていた。
- 結果として「たぶん大丈夫」という感覚だけで運用が続いていた。
やったこと:AIで全システムを横断点検し、重大なものから修正
運用中のシステムすべてを対象に、AIに設定やプログラムを読ませて、問題になりそうな箇所を横断的に洗い出しました。人が1本ずつ読み込むと膨大な時間がかかる作業を、まとめて短期間で終わらせるためです。
- 外部に開きすぎていたデータの窓口(本来は関係者しか触れないはずの入口が、誰でも届く状態になっていたもの)を洗い出した。
- 権限設定の漏れ(見えてはいけない人にデータが見える状態)や、入力チェックの不備も対象にした。
- 見つかった問題に重大度を付けて一覧にし、重大なものから順に修正していった。
つまずいた点
- AIの指摘には誤検知(実際には問題ではないもの)も混ざっていました。指摘を鵜呑みにして直すと、正常な動きまで壊しかねません。1件ずつ実際にその状況を再現・確認し、本当に問題だと確かめてから修正しました。
- 直す順番が重要でした。全部を一度にやろうとすると手が回らなくなるため、「外部から誰でも触れてしまう」類いの問題を最優先にし、内部の細かな改善は後に回しました。
- 修正して終わり、にはできませんでした。同じ作り方をすれば同じ問題がまた生まれます。修正とあわせて「今後こう作る」という設計ルールを決める必要がありました。
結果
重大度の高い問題は、すべて短期間で修正を終えました。修正後には実際にシステムを動かして、業務に影響が出ていないことまで確認しています。発見された問題はすべて修正済みです。人手による専門診断の予定を組んで結果を待つよりもずっと早く、把握できているリスクを先に潰せたことが大きな成果でした。もちろんAIの点検がすべてを保証するわけではありませんが、「点検を一度もしていない状態」から「洗い出して直し切った状態」への差は歴然です。
この型が使える会社
- 作った時期や担当者が異なる業務システム・ツールを複数運用している会社。
- セキュリティ点検の必要性は感じているが、専門診断をすぐに頼める予算やスケジュールがない会社。
- 「たぶん大丈夫」のまま、点検が何年も後回しになっている会社。
後回しになっていた守りの点検は、AIを使えば「まとめて短期間で」やり切れる。ただし指摘の確認・直す順番・再発防止のルール化という人の判断はセットで必要です。
セキュリティ対策と聞くと大がかりに感じますが、最初の一歩は「自分たちのシステムを一度きちんと見渡すこと」です。AIはその見渡す作業を、現実的な時間とコストに引き下げてくれます。完璧を目指して立ち止まるより、まず重大なものから洗い出して直し切る。守りの点検を回せる状態を作ることが、いちばん堅実なスタートになります。
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