「広告のバナー、また何十パターンも必要になった」——実店舗を持つ小売やサービス業なら、心当たりがあるはずです。セール、新商品、季節、店舗違い。必要な種類はどんどん増えるのに、一枚ずつデザインしていては制作が追いつかない。今回は、そんな会社が広告用のバナー画像をスクリプト(決まった作業を自動で実行する小さなプログラム)で量産できるようにした話です。日本語特有の「文字化け」というつまずきも含めて、率直に紹介します。
課題:必要な量に、制作が追いつかない
この会社では、広告用の画像バナーを都度デザインしていました。丁寧に作れば品質は上がりますが、そのぶん時間がかかる。結果、試したいパターンがあっても「制作の手間」がボトルネックになり、出せる広告の数が頭打ちになっていました。
- 数が出せない:一枚ずつ手作業のため、A/Bで比べたくても候補がそろわない。
- 更新が重い:コピーやロゴの差し替えのたびに、また作り直し。
- 属人化:デザインできる人の手が空かないと、広告が前に進まない。
やったこと:素材にコピーとロゴを自動合成する
取り組んだのは、背景画像(AIで生成したものも含む)や用意した素材に、キャッチコピーとロゴをスクリプトで自動的に重ね合わせ、規定サイズのバナーを量産する仕組みです。人が決めるのは「どの背景に、どのコピーを載せるか」だけ。あとは機械が同じ品質で並べてくれます。
- 背景を用意:手持ちの素材やAI生成画像を土台にする。
- 要素を重ねる:コピーとロゴを、決められた位置・サイズで自動合成。
- サイズ展開:配信先に合わせた規定サイズで一気に書き出す。
つまずいた点
最初にぶつかったのが日本語の文字化けでした。画像に日本語のコピーを入れようとすると、文字が「□□□」のような記号に化けてしまう。原因は、画像を扱う仕組みが日本語フォントを正しく参照できていなかったことです。
- フォントを焼き込む:日本語フォントを画像に直接描き込む方式に切り替え、文字化けを回避した。
- コピー用の余白を確保:背景の上部にあらかじめ文字を載せるスペースを設ける設計にし、コピーが画像に埋もれないようにした。
- レイアウトの自動調整:コピーの長さが変わっても崩れないよう、配置を自動で整える調整を重ねた。
派手さはありませんが、こうした「地味な詰め」を怠ると、量産したバナーが使い物にならなくなります。
結果:手数が減り、パターン違いを素早く用意できる
導入後は、バナー量産にかかる手数が大きく減りました。コピーや背景を差し替えるだけで、パターン違いを素早くそろえられる。試したい案があれば、まず作って出してみる、が現実的になりました。
デザインの一点物としての完成度を機械に求めているわけではありません。「型が決まった量産部分」を機械に任せ、人は企画やコピーの中身に集中する。この切り分けが効きました。
この型が使える会社
今回のポイントは、広告バナーに限らず「サイズや型が決まった画像を大量に作る業務」に広く当てはまることです。
- 動画・記事のサムネイル:タイトルだけ差し替えて量産したい場面。
- 店頭POPや値札:フォーマットは同じで中身が変わるもの。
- SNS投稿画像:曜日別・商品別に決まった型で出したいもの。
「レイアウトは固定、中身だけ差し替え」。この条件がそろう画像制作なら、量産の自動化は検討する価値があります。まずは一番数の多いサイズから型を固めるのがおすすめです。
※記載の数値は実際の取り組みをもとにした概算です。
