業務の自動化は、一つひとつは小さな仕組みでも、積み重なると会社の土台になります。定型レポートを自動で作る、外部のデータを毎晩取り込む、決まった時刻に通知を送る。こうした処理を少しずつ増やしてきたある会社で、あるとき「気づけば数日、あの処理が止まっていた」という出来事が起きました。今回はその会社が、自動化の“見張り役”をどう用意したかをご紹介します。
目次
課題:便利になったぶん、止まっても気づかない
自動化は「動いていて当たり前」になった瞬間、誰も見なくなります。順調なあいだは何も起きないので、逆に止まったときの発見が遅れます。
- ある自動処理が静かに止まっていても、後工程で数字が合わないまで誰も気づかない。
- 処理の数が増え、どれが動いていてどれが止まっているのか全体像が分からなくなっていた。
- 担当者が毎朝すべての処理を手で確認するのは、現実的な作業量ではなかった。
やったこと:毎朝まとめて点検する“見張り役”を用意
個々の処理を作り直すのではなく、「動いているはずの処理が、昨日きちんと正常に終わったか」を毎朝まとめて確認し、失敗があれば担当者に通知する仕組みを一つ追加しました。あわせて、社内で動いているすべての自動処理を一覧の台帳(管理表)に登録し、点検漏れを防ぎました。
- 動いている自動処理をすべて台帳に登録し、点検の対象から抜け落ちないようにした。
- 各処理が「正常に終わったか」を毎朝一括で確認し、結果をまとめて可視化した。
- 失敗を見つけたときだけ、担当者へチャットツール(社内の連絡アプリ)で通知を飛ばすようにした。
つまずいた点
- 成否の判定が難しかった。処理が「終わったフリ」をして途中で止まる場合があり、完了したかどうかだけでは正常とは言い切れなかった。中身の結果まで見て判定する必要があった。
- 最初の権限・承認まわりでつまずいた。見張り役が各処理の記録を読みに行くための許可を、一つずつ整える手間があった。
- 通知の粒度に悩んだ。細かく送りすぎると読み飛ばされ、いざ本当の異常が来ても埋もれてしまう。結局「失敗したときだけ」に絞って初めて機能した。
結果
止まったことに数日ではなく数時間で気づけるようになりました。異常があれば朝いちばんに手元へ届くので、被害が広がる前に手を打てます。何より、止まっても検知できるという安心感ができたことで、この会社は「自動化を新しく増やすこと」に前向きになりました。見張り役があるからこそ、増やしても管理しきれるという状態です。
この型が使える会社
- 社内で自動化やRPA(決まった操作を自動で繰り返す仕組み)、スクリプト(自動処理のプログラム)を複数動かしている会社。
- 止まったときの検知が、特定の担当者の目視や気づきに頼っている会社。
- これから自動化を増やしたいが、増やすほど管理が不安になっている会社。
自動化は「作って終わり」ではなく、「動き続けているか」を見守るところまでが一つのセットです。処理そのものを増やす前に、まず“止まったら気づける”状態を整えておく。地味ですが、これが安心して自動化を広げていくための、いちばん堅実な一歩になります。
