「インタビューは撮れた。でも記事にする時間がない」。オウンドメディアを運営する多くの企業が、この一点でつまずきます。取材そのものより、動画を文字に起こし、話し言葉を読みやすい文章に整え、見出しをつけて初稿にする——この地味な作業に時間を取られ、公開本数が伸びない。今回は、その”記事化の前半戦”を半自動にしたある企業の取り組みを紹介します。
課題:撮った後の工数が重すぎて、本数を増やせない
この企業では、社外の方へのインタビュー動画を素材に記事を作っていました。ところが、1本の記事を出すまでの流れがこうなっていたそうです。
- 文字起こし:動画を再生しながら手打ち、または音声を聞き直して整える
- 整形:「えーと」「まあ」といった話し言葉を削り、読める文章に直す
- 構成:見出しを立て、順番を組み替えて記事の形にする
取材が良くても、この後半に時間がかかるため、月に出せる本数が頭打ちになっていました。「素材はあるのに眠っている」状態です。
やったこと:初稿までの流れを一本の道にした
取り組んだのは、次の流れを半自動でつなぐことでした。
- 音声を抽出:動画ファイルから音声だけを取り出す
- 文字起こし:音声を自動で文字にする(AIによる音声認識を利用)
- 下書きに整形:起こしたテキストを、見出し付きの記事の下書きに自動で組み立てる
ポイントは、人の仕事を「ゼロから書く」から「整った初稿を推敲する」に変えたことです。書き出しの一番しんどい部分を機械に任せ、人は言い回しの微調整や、話者の意図をくむ推敲に集中できるようにしました。
つまずいた点
やってみると、そのまま公開できるほど甘くはありませんでした。とくに引っかかったのは次の3つです。
- 音声の品質:周囲の音や小さな声だと、文字起こしの精度が落ちる。録音環境がそのまま初稿の質に響く
- 話し言葉の整形:口ぐせや言い直しをそのまま残すと読みにくい。どこまで直すと”その人らしさ”が消えるか、さじ加減が難しい
- 表記ゆれ:専門用語や固有の言い回しが、同じ言葉なのに違う表記で出てくる。ここは人の目で揃える必要があった
結果:初稿までが速くなり、公開までの時間が縮んだ
完全自動ではありませんが、「初稿ができるまで」の時間が大きく短縮されました。人が向き合うのは推敲からになるため、1本あたりの体感負荷が下がり、公開までのリードタイムも縮まったといいます。素材が眠らず、記事として世に出るまでの回転が速くなったのが一番の変化でした。
この型が使える会社
この仕組みは、インタビュー記事に限りません。「しゃべった内容」や「会議の記録」を、文章やドキュメントに落とす業務全般に応用できます。
- セミナーや対談の動画を記事化しているメディア運営
- 会議録・打ち合わせメモを議事録にまとめる部門
- 顧客インタビューを事例コンテンツにしたい営業・広報
大事なのは、機械に「完成」を求めないこと。初稿まで任せ、仕上げは人が持つ——この線引きが、無理なく続けるコツでした。まずは手元にある録画の1本を、音声抽出から試してみるところから始められます。
※記載の数値は実際の取り組みをもとにした概算です。
