「シフトを組めるのが、事実上あの人しかいない」——多店舗を運営する会社で、あるあるの悩みです。ベテランが休むとシフトが止まる。今回は、都内で7店舗を展開する調剤薬局グループが、表計算ソフトでの手作業だったシフト作成をiPadで完結するブラウザアプリに置き換え、属人化を解消した事例を、つまずいた点まで含めて紹介します。
課題:シフト作成がベテラン1人に依存していた
シフト表は表計算ソフトで手作業。長年やっているベテラン担当者の頭の中に段取りが入っていて、その人が休むと現場が回らない状態でした。さらに7店舗あると、店舗をまたいだ「応援」——人が足りない店へ別店舗のスタッフを回す融通——の調整が煩雑で、これも属人化していました。
- 属人化:組み方がマニュアル化されておらず、担当者が休むと代われない
- 応援調整の煩雑さ:店舗間の人の融通が手作業で、全体像が見えにくい
- 現場の道具とのズレ:現場はPCよりiPadで作業したいのに、表計算はiPadだと扱いづらい
やったこと:表計算は残し、現場が触るのはアプリに
ポイントは、慣れ親しんだ表計算ソフトをいきなり捨てなかったことです。表計算は「裏側のデータ置き場」として残し、現場が実際に触るのは、iPadのブラウザだけで完結するアプリ(Webアプリ=インストール不要でブラウザ上で動くソフト)にしました。
- 誰でも同じ手順:画面の案内どおりに進めれば、ベテランでなくても同じようにシフトが組める
- iPadで完結:現場が使いたい端末でそのまま作業できる
- 応援もアプリ上で:店舗をまたいだ人の割り当ても画面から調整できる
つまずいた点
最初のバージョンは、とにかく遅かったのが問題でした。
- 保存が遅い:保存のたびに裏側の表計算と何度も通信していて、待たされる。通信回数を大きく減らし、一度読み込んだ結果を使い回す工夫(メモ化=計算・取得済みの結果を覚えておいて再利用する仕組み)で高速化しました。
- 古い表示が残る不具合:データを書き換えた直後なのに、画面には前の内容が表示されることがありました。原因は使い回している古いデータ。書き込んだ後は必ずその「覚えている内容」を作り直す処理を入れるのが肝でした。
結果:誰でも回せて、動きも軽快に
ベテラン1人に依存していたシフト編成を、担当者が代わっても同じ手順で回せるようになりました。iPadで軽快に操作でき、店舗間の応援調整もしやすくなっています。「あの人が休むと困る」という状態から抜け出せたことが、いちばんの成果です。
この型が使える会社
複数拠点でシフトや勤務表を組んでいる会社なら、業種を問わず同じ型が応用できます。飲食、小売、介護、コールセンターなど、現場がPCよりタブレットやスマホで作業したいケースには特に相性が良いです。既存の表計算をいきなり捨てず「裏側のデータ置き場」として残すやり方なら、現場の移行負担も小さく抑えられます。
※ 記載の数値は、実際の取り組みをもとにした概算です。
